感謝の日

2019年7月20日。私は自宅で脳出血を起こし、救急車で病院に運ばれ緊急手術を受けました。2年前のことです。

脳に障害が起きて自分の事が分からなくなりました。私がおかしな事ばかり言うので、夫は”人生終わった”と絶望しました。リハビリ病院に転院すると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理士が私の為のチームを組んでくれました。

来る日も来る日もリハビリ。寝て起きて食事してリハビリして、リハビリして、リハビリして、ずっとリハビリ。手や足が動かないとかじゃないので、私のリハビリは頭を使う事ばかりでした。記憶のテストはしんどかったなぁ。普通の人でもそんなの分からんよ！と思う事も多かったし、暗算の時間も苦痛でした。ちょっとした事でもやたら涙が出るし、優しくされたり悲しい話を聞くとワンワン泣きます。自分で感情のコントロールがとれなくなりました。

テストも合格ラインの結果が出てくるようになり、退院の目途がついてきた頃

 

大丈夫かなぁって・・・そんな事を言われると不安になります。

 

私の提案に、あまりそういうのは薦めませんけど、希望されるなら作成しますよ。って作ってもらったんです。

出来上がった自分の取説を読んだ時、私は愕然としました。

 

• 苦手なことを把握できるようになってきていますが、危機感に欠けるける為、自ら解決策を探そうとすることが難しいです。
• 構えができている内容については意識して覚えられますが、予期せぬ事柄に関しての記憶が曖昧になりやすいです。
• 未来の予定の記憶（例；20分後に◎◎をする 等）を覚えておくことが難しいです。
• 関連付けがないことを覚えることが難しいです。
• 約束事はメモをとる、周囲へ確認することができるようになっています。
• 視覚・聴覚共に情報量が増えると見落とし、聞き落としがみられます。
• 課題中に別のことを考えて、集中できないことや、ミスが増えることがあります。
• 一度に多くのことを依頼されると順序立てて計画的に行動することが難しいです。
• 時計を見ながら時間配分を考えて進めていくことが難しいです。
• 物事を考えたり思い出したりすることで、頭が疲れやすく、集中力が続かない事があります。
• 細やかな休憩を取りながらであれば、1時間程度の作業に集中することができます。

これを読んで上司や同僚はどう思うだろうか。

 

• 忙しくなる、作業量が増えると、見落とし、聞き落としが増える可能性があります。
• 作業をしていく上でミスをすることや、そのミスに自分で気づくことが難しい可能性があります。
• 約束事はメモに残して確認するようにしないと、忘れてしまうことがあります。
• 先を見越して計画を立てることが苦手でありため、作業の優先順位が決められない可能性があります。
• 話やその他の作業に夢中になると、約束事を忘れてしまうことがあります。

こんなの読んだら、カニさんまだヤバいじゃん！って思うに決まってる。というか私、本当に退院していいの？

仕事復帰する前に、自分の取説を持って会社へ行きました。夫が私の経過をみんなに説明している間、私はどのタイミングで自分の取説を出そうか考えていました。出すのやめようかな、いや、出しておいたほうがいいよね。結局、帰り際にボスへ手渡しました。ボスは本社にこれを提出しても良いか？と聞いてきました。

せっかく復帰が決まったのに、この紙のせいで帳消しにならないだろうか。退職しなければならなくなったらどうしよう。不安で仕方がありませんでした。今すぐシュレッターかけて！と言いたかった。でも、もうなるようにしかならないと腹をくくりました。

これが1年8か月前の事です。

自分でも気をつけなくちゃと思って写真に撮っていたのでしょう。撮った事すら忘れていたけど、写真が出てきたのでブログに書いてみました。

もし同じような体験をされて不安に感じている方がおられるなら、安易なことは言えませんが希望の光はあります。

私は元気に仕事をしています。今のところ取説のようなヤバい傾向は出ていません。病院で「日々の暮らしが一番のリハビリです」と言われたことを思い出しました。仕事も家事も全部がリハビリになるそうです。

通勤は自転車じゃなくバスにしてください！と主治医から言われました。その理由は、知らない道に入ったらパニックを起こすかもしれない云々です。なにそれ怖！

自転車がダメで車がOKなのも変な話ですが、今のところ車を運転して迷ったり帰れなくなった事はありません。

大きな病気をして私が感じているのは、幸せのハードルが下がったこと。

朝ベッドの中で目を覚ますと、私の家だ！と嬉しくなります。家族も犬達も元気！些細な事でも幸せを感じます。会社に行けば忙しく働いているけど、病院でリハビリしていた頃と比べたら、仕事は自分でコントロールして進めることが出来るし、取引先の人との電話も楽しい。好きな仕事をして、お金まで貰えるんだからめちゃくちゃ幸せです！

生死をさまよった2年前の今日。手術室の前で泣いていた夫と娘。かけつけてくれた息子と両親。メッセージを送ってくれた妹。みんな本当にありがとう。

今日は感謝の日。神様、私を生かしてくれてありがとうございます。今夜は家族で鰻を食べに行きます！

7月3日も家族4人で鰻を食べに行きました。肝が売切れていたので今日の肝を予約して帰ったんです。

• 2018年の7月は西日本豪雨で夫が帰宅困難になりました。その数日後、愛犬2号が天国へ旅立ちました。
• 2019年の7月は子宮頸がんに変異する可能性のある細胞を切除しました。その17日後に脳出血を起こしました。
• 2020年7月は、ブログには書いていないけど、1週間ほど入院していました。

今年の7月は何もありませんように。穏やかな気持ちで過ごせますように。と祈っていたら

マダルからお守りが送られてきたんです。箱を開けた瞬間、驚いたのと嬉しさで涙が出てきました。と同時に、この数年間の7月の嫌な記憶が吹っ飛びました。マダル、お守りありがとう。本当にありがとう。一生の宝物にします。大好き‼

今、私が感じていることは、死ぬ前に「しなかったこと」に対して後悔をしないよう、やりたい事はどんどん挑戦していこう！ということです。2年前に私の心臓が止まっていたことを踏まえても、人はいつ死ぬか分からない。突然死ぬことだってあるんだから、やりたい事はどんどんやって、あの時あれをやっておけば良かった・・・という気持ちになならにように、後悔しないように、失敗しても挑戦したことを楽しんで生きていこうと思います。

【これからの生き方】やりたいことは全部やる！